「大気汚染」と聞いて、まず思いつくのが「光化学スモッグ」。光化学スモッグは、窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)類が太陽の強い紫外線を浴びて高濃度の「光化学オキシダント(Ox)」に変質した結果発生するもので、風が弱く、紫外線の強い夏の日中に発生します。光化学スモッグが発生すると、目や呼吸器などの粘膜を刺激するなどの健康被害を引き起こすので、注意報が出ているときは外出を控えましょう。
SPMはディーゼル排ガスなどに含まれる直径10ミクロン以下の粒子で、長期間吸い続けると、ぜん息などの引き金になると言われています。また、最近の研究では、ディーゼル排ガスや道路の粉塵以外に、硫黄酸化物や炭化水素など大気汚染ガスが太陽光を浴びて化学反応を起こしてもSPMが発生することが分かりました。さらに、粒子が小さいため、風が少しでもあれば数年間も空気中を漂い、いったん排出されるとなかなか除去できません。単に車の「排ガス規制」を行っただけでは削減できない厄介な微粒子として、環境庁等が詳しい調査を進めています。
「汚染」ではありませんが、春先に花粉症に悩まされる「花粉アレルギー体質」の方にとって、スギやヒノキから飛散する花粉は大敵です。しかし、スギ花粉の粒子は直径約20〜40ミクロンとSPMに比べて大きく、吸い込んでもくしゃみや鼻水、せきやタンとして体外に排出されます。 一方、SPMの粒子は小さいモノでは直径2.5ミクロン以下。国立環境研究所の実験では「ディーゼルエンジンが排出した高濃度の微粒子をモルモットの鼻に吸入させると、花粉症の症状が明らかに出やすくなる」という結果が出ており、このことから、人間の場合でも直径2.5ミクロン以下の微粒子は、鼻や肺の奥まで入り込み、粘膜を弱くして喘息などの呼吸器疾患や花粉症のようなアレルギー疾患を引き起こす一因となっているのではないかと言われています。 |